ふと、思い出すこと

留学は親に内緒で応募した。
確か、28歳になったばかりの秋だったと思う。
その年の大晦日にアブダビから電話がかかってきて、合格の知らせを聞いた。
テレビから紅白歌合戦が流れる居間で、両親に打ち明けた。

父は「本当に1年だけだな?1年で帰ってくるんだな?」と念を押した。

ワタシは「うん」とだけ言った。この時すでに2年行くつもりにしていた。

1年目の終りに留学を続けることを告げた。
父は「2年だぞ。2年。そっちで就職とか考えるなよ」

2年目の終わり、3年目もここに残ることを告げた。
そして3年目の終わり、ドーハで既に就職が決まり、出発まで1ヶ月を切った頃に日本へ電話した。

父はもう何も言わなかった。
年に一度でいい。母に顔を見せに帰ってきてくれ、とだけ。

ドーハに渡ってから4年が過ぎた頃、ワタシはタイの南部にいた。
お見合いを何度かして、一人の女性と出会った。相手の両親や家族と面会した。
心は決まっていた。

仲人をしてくれた学長のオフィスから実家に電話をかけた。

「結婚することになったよ」

父はただ、おめでとうとだけ言った。

自分勝手な息子でごめんなさい。
きっと一生かかっても、恩返しはできないだろうけど、
あなたの息子であることを何よりも嬉しく思いながら生きています。
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by mohtakec | 2013-07-09 23:54 | DIARY | Comments(0)

カタル、タイ、時々ニッポン


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